ブログ

ryuzeeによるブログ記事。不定期更新

スクラムで失敗する7つの方法

みなさんこんにちは。@ryuzeeです。

ジェフ・サザーランド氏のスライドが素晴らしいので抜粋・意訳にてご紹介します。 これは2007年の文書ですが、今読んでも全くもってその通りあてはまると思います。

1.プロダクトオーナーの失敗ポイント

  • プロダクトオーナーが、ビジョン、ビジネスプラン、リリースのロードマップを持っていない

  • プロダクトバックログが適切な順番で優先順位付けされていない。技術的な問題を含む、全ての仕事が含まれていない。スプリントプランニングに使えるようになっていない(適切なサイズになっていない、正しく見積もられていない、詳細化できるようになっていない)

  • プロダクトオーナーがスプリント期間中に無断でどこかに行ってしまう

2.スプリントプランニングの失敗ポイント

  • プロダクトオーナーがはっきりと思いを伝えない
  • チームがプロダクトバックログから離れている。フィーチャーをスプリントタスクにブレークダウンしていない
  • プロダクトバックログの元の見積りがスプリントバックログのより詳細化された見積りと同一であることを、スクラムマスターが確認できない
  • 信頼、透明性、真実がない
  • 計画がthree finger testに合格しない

3.デイリーミーティングの失敗ポイント

  • チームの人数が7プラスマイナス2名よりも多い
  • 発言しない人がいる
  • 意味ある情報が伝えられない(タスクの開始、停止、完了、見積り超過、個人的な問題を含むプロジェクトへの妨げ)
  • チームが自己組織化されていない(聞いた情報を元に作業を再計画すべきだ。ミーティングで最も妨害となる事項の除去のために60秒ルールを使う)
  • スクラムマスターが酷いミーティング(15分以上、ファシリテーションが欠如した)をする

4.スクラムマスターの失敗ポイント

  • スクラムマスターがチームに奉仕、集中していない(バーンダウンを毎日更新する、毎日妨害事項を解決する、毎日個人の問題を取り扱う)
  • 良いヒューマンスキル、ファシリテーションスキルを持っていない
  • 良いリーダーシップスキルを持っていない(誠実でないことを黙って見過ごす、嘘や怠慢、情報の隠蔽。優先順位付けした妨害事項のリストを持たず、妨害を解決できない。個人の変化や問題に対応できない)

5.チームの失敗ポイント

  • 必要な技術や知識領域を持っていない
  • バーンダウンを作れない、妨害を除去できない、ベロシティを向上できない
  • スプリントバックログに記載されていない作業をしている
  • マルチタスク
  • 過度な仕事量がある
  • テストを早期に実行することができない
  • エンジニアリングに関するプラクティスを改善できない
  • 占有して自由に使えるリソースがない

6.スプリントレビューの失敗ポイント

  • テストされた動作するコードをデモすることができない
  • ソフトウェアの製造が完了していない(doneに関する統一された定義がない、プロダクトオーナーがフィーチャーが完了したことを確認しない、完了していない場合にプロダクトオーナーがプロダクトバックログの優先順位を振りなおさない)
  • スプリントの結果としてのベロシティが明確ではない
  • チームがふりかえりをしない(チームは改善のためのふりかえりをしない。スプリントの終わりにふりかえりの提案をすることができない)

7.管理者(マネージャ)の失敗

  • ビジネスモデルを持っていない
  • 十分なリソースを用意しない
  • 均一に出荷することができない-ムラ
  • 負荷がかかる構造を避けることができない(持続可能なペースに反する、スプリント期間中にチームを崩す)-ムリ
  • 無駄を除去できない-ムダ
  • チームが除去できない妨害を除去することができない
  • チームを平凡なチームから押し上げるようにチャレンジさせることができない

それでは。

アジャイルコーチングやトレーニングを提供しています

株式会社アトラクタでは、アジャイル開発に取り組むチーム向けのコーチングや、認定スクラムマスター研修などの各種トレーニングを提供しています。ぜひお気軽にご相談ください。

詳細はこちら
  • スクラム実践者が知るべき97のこと
  • 著者/訳者:Gunther Verheyen / 吉羽龍太郎 原田騎郎 永瀬美穂
  • 出版社:オライリージャパン(2021-03-23)
  • 定価:¥ 2,640
  • スクラムはアジャイル開発のフレームワークですが、その実装は組織やチームのレベルに応じてさまざまです。本書はスクラムの実践において、さまざまな課題に対処してきた実践者が自らの経験や考え方を語るエッセイ集です。日本語書き下ろしコラムを追加で10本収録
  • プロダクトマネジメント ―ビルドトラップを避け顧客に価値を届ける
  • 著者/訳者:Melissa Perri / 吉羽龍太郎
  • 出版社:オライリージャパン(2020-10-26)
  • 定価:¥ 2,640
  • プロダクト開発を作った機能の数やベロシティなどのアウトプットで計測すると、ビルドトラップと呼ばれる失敗に繋がります。本書ではいかにしてビルドトラップを避けて顧客に価値を届けるかを解説しています。
  • SCRUM BOOT CAMP THE BOOK 【増補改訂版】
  • 著者/訳者:西村直人 永瀬美穂 吉羽龍太郎
  • 出版社:翔泳社(2020-05-20)
  • 定価:¥ 2,640
  • スクラム初心者に向けて基本的な考え方の解説から始まり、プロジェクトでの実際の進め方やよく起こる問題への対応法まで幅広く解説。マンガと文章のセットでスクラムを短期間で理解できます。スクラムの概要を正しく理解したい人、もう一度おさらいしたい人にオススメ。
  • みんなでアジャイル ―変化に対応できる顧客中心組織のつくりかた
  • 著者/訳者:Matt LeMay / 吉羽龍太郎、永瀬美穂、原田騎郎、有野雅士
  • 出版社:オライリージャパン(2020-3-19)
  • 定価:¥ 2,640
  • アジャイルで本当の意味での成果を出すには、開発チームだけでアジャイルに取り組むのではなく、組織全体がアジャイルになる必要があります。本書にはどうやってそれを実現するかのヒントが満載です
  • レガシーコードからの脱却 ―ソフトウェアの寿命を延ばし価値を高める9つのプラクティス
  • 著者/訳者:David Scott Bernstein / 吉羽龍太郎、永瀬美穂、原田騎郎、有野雅士
  • 出版社:オライリージャパン( 2019-9-18 )
  • 定価:¥ 3,132
  • レガシーコードになってから慌てるのではなく、日々レガシーコードを作らないようにするにはどうするか。その観点で、主にエクストリームプログラミングに由来する9つのプラクティスとその背後にある原則をわかりやすく説明しています。
  • Effective DevOps ―4本柱による持続可能な組織文化の育て方
  • 著者/訳者:Jennifer Davis、Ryn Daniels / 吉羽 龍太郎、長尾高弘
  • 出版社:オライリージャパン( 2018-3-24 )
  • 定価:¥ 3,888
  • 主にDevOpsの文化的な事柄に着目し、異なるゴールを持つチームが親和性を高め、矛盾する目標のバランスを取りながら最大限の力を発揮する方法を解説します
  • ジョイ・インク 役職も部署もない全員主役のマネジメント
  • 著者/訳者:リチャード・シェリダン / 原田騎郎, 安井力, 吉羽龍太郎, 永瀬美穂, 川口恭伸
  • 出版社:翔泳社( 2016-12-20 )
  • 定価:¥ 1,944
  • 米国で何度も働きやすい職場として表彰を受けているメンローの創業者かつCEOであるリチャード・シェリダン氏が、職場に喜びをもたらす知恵や経営手法、より良い製品の作り方などを惜しみなく紹介しています
  • アジャイルコーチの道具箱 – 見える化の実例集
  • 著者/訳者:Jimmy Janlén / 原田騎郎, 吉羽龍太郎, 川口恭伸, 高江洲睦, 佐藤竜也
  • 出版社:Leanpub( 2016-04-12 )
  • 定価:$14.99
  • この本は、チームの協調とコミュニケーションを改善したり、行動を変えるための見える化の実例を集めたものです。96個(+2)の見える化の方法をそれぞれ1ページでイラストとともに解説しています。アジャイル開発かどうかに関係なくすぐに使えるカタログ集です
  • カンバン仕事術 ―チームではじめる見える化と改善
  • 著者/訳者:原田騎郎 安井力 吉羽龍太郎 角征典 高木正弘
  • 出版社:オライリージャパン( 2016-03-25 )
  • 定価:¥ 2,138
  • チームの仕事や課題を見える化する手法「カンバン」について、その導入から実践までを図とともにわかりやすく解説した書籍。カンバンの原則などの入門的な事柄から、サービスクラス、プロセスの改善など、一歩進んだ応用的な話題までを網羅的に解説します。
  • Software in 30 Days スクラムによるアジャイルな組織変革“成功"ガイド
  • 著者/訳者:Ken Schwaber、Jeff Sutherland著、角征典、吉羽龍太郎、原田騎郎、川口恭伸訳
  • 出版社:アスキー・メディアワークス( 2013-03-08 )
  • 定価:¥ 1,680
  • スクラムの父であるジェフ・サザーランドとケン・シュエイバーによる著者の日本語版。ビジネス層、マネジメント層向けにソフトウェア開発プロセス変革の必要性やアジャイル型開発プロセスの優位性について説明
  • How to Change the World 〜チェンジ・マネジメント3.0〜
  • 著者/訳者:Jurgen Appelo, 前川哲次(翻訳), 川口恭伸(翻訳), 吉羽龍太郎(翻訳)
  • 出版社:達人出版会
  • 定価:500円
  • どうすれば自分たちの組織を変えられるだろう?それには、組織に変革を起こすチェンジ・マネジメントを学習することだ。アジャイルな組織でのマネージャーの役割を説いた『Management 3.0』の著者がコンパクトにまとめた変化のためのガイドブック