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ryuzeeによるブログ記事。不定期更新

アジャイルチームのアセスメント方法

みなさんこんにちは。@ryuzeeです。

アジャイルな開発を行っているチーム(やっていなくても構いませんが…)のアセスメントを行う方法について考えてみました。 あくまで一例でこれが最適とは限りませんが、コーチとしてリアルなプロジェクトの具体的なところではない原点の部分を軸にしてチームの成熟度を把握できるようになりたいなぁということで、アジャイルマニフェストの12の原則をベースにして考えてみました(今後継続的に足していったり、現場で試してみる予定です)。

1. 顧客満足を最優先し、価値のあるソフトウェアを早く継続的に提供します。

  • プロとして顧客のために行動できているか
  • 正しいことを行っているかどうかを常に意識しているか
  • 顧客のためとは顧客の言う事をすべてやることではないことを理解しているか
  • 価値は提供する側が決めるものではないことを理解しているか
  • 顧客にとって価値がなかったらどうなるか理解しているか

2. 要求の変更はたとえ開発の後期であっても歓迎します。変化を味方につけることによって、お客様の競争力を引き上げます。

  • 要求の変更や追加を受け入れているか
  • 要求の変更や追加に優先順位は付けられているか
  • その変更や追加によって顧客の競争力は本当にあがるのか確認したか

3. 動くソフトウェアを、2-3週間から2-3ヶ月というできるだけ短い時間間隔でリリースします。

  • 短い時間間隔で顧客に動作するソフトウェアを届けているか
  • 動作する、とは顧客と合意した品質基準を満たしていることが前提であると理解しているか

4. ビジネス側の人と開発者は、プロジェクトを通して日々一緒に働かなければなりません。

  • 同じゴールを達成するためのパートナーシップができているか。お互いの利益が相反していないか
  • 顧客と日々コミュニケーションをとっているか
  • 頻繁に顔を合わせているか
  • 悪い話やリスクも全て伝えられているか

5. 意欲に満ちた人々を集めてプロジェクトを構成します。環境と支援を与え仕事が無事終わるまで彼らを信頼します。

  • チームはやる気はあるか
  • 必要な道具や環境がチームに与えられているか
  • 管理職はチームを信頼しチームが成果を出せるように振舞っているか
  • 責任は管理職がとっているか
  • チームで解決できない問題を管理職は解決しているか

6. 情報を伝えるもっとも効率的で効果的な方法はフェイス・トゥ・フェイスで話をすることです。

  • 毎日デイリースクラムで顔をあわせているか
  • チームは同じ場所で作業しているか
  • タスクボードなどアナログで用意されて場が形成されているか
  • 困ったことがあればすぐにお互いに声を掛けあっているか
  • 電子メールやチャットで一方的に通知することで済ませていないか

7. 動くソフトウェアこそが進捗の最も重要な尺度です。

  • 進捗の確認を動作するソフトウェアを基準に行っているか
  • 完了の基準や受け入れ基準等を使って同じ認識の上で進行しているか
  • 設計書や資料や報告書だけで進捗を判断していないか?

8. アジャイル・プロセスは持続可能な開発を促進します。一定のペースを継続的に維持できるようにしなければなりません。

  • スプリントのゴールを達成するために過度な残業や休日出勤をしていないか
  • 外部から成果の量を強要されていないか
  • オーバーコミットメントしていないか
  • 自分たちの達成可能なペースを把握しているか

9. 技術的卓越性と優れた設計に対する不断の注意が機敏さを高めます。

  • 常に技術について学習を行っているか
  • 悪い設計に気づいたら直しているか
  • チームは技術や設計に関心をもっているか

10. シンプルさ(ムダなく作れる量を最大限にすること)が本質です。

  • 自分の行いが有効なのかムダなのかを意識しているか
  • 一度にたくさんのことを行おうとしていないか
  • 小さい単位でフィードバックループを回しているか

11. 最良のアーキテクチャ・要求・設計は、自己組織的なチームから生み出されます。

  • チームは仕事の進め方を自分たちで決められるか
  • チームの秩序はチーム自身が決めた規律によって守られているか
  • チームには仕事を達成するのに必要な人が揃っているか

12. チームがもっと効率を高めることができるかを定期的にふりかえり、それに基づいて自分たちのやり方を最適に調整します。

  • ふりかえりを行っているか
  • ふりかえりで決めた改善アクションは実行に移されているか。掛け声だけでおわっていないか
  • 毎回同じ問題が出ていないか
  • プロセスを常に調整しているか

それでは。

アジャイルコーチングやトレーニングを提供しています

株式会社アトラクタでは、アジャイル開発に取り組むチーム向けのコーチングや、認定スクラムマスター研修などの各種トレーニングを提供しています。ぜひお気軽にご相談ください。

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  • スクラム実践者が知るべき97のこと
  • 著者/訳者:Gunther Verheyen / 吉羽龍太郎 原田騎郎 永瀬美穂
  • 出版社:オライリージャパン(2021-03-23)
  • 定価:¥ 2,640
  • スクラムはアジャイル開発のフレームワークですが、その実装は組織やチームのレベルに応じてさまざまです。本書はスクラムの実践において、さまざまな課題に対処してきた実践者が自らの経験や考え方を語るエッセイ集です。日本語書き下ろしコラムを追加で10本収録
  • プロダクトマネジメント ―ビルドトラップを避け顧客に価値を届ける
  • 著者/訳者:Melissa Perri / 吉羽龍太郎
  • 出版社:オライリージャパン(2020-10-26)
  • 定価:¥ 2,640
  • プロダクト開発を作った機能の数やベロシティなどのアウトプットで計測すると、ビルドトラップと呼ばれる失敗に繋がります。本書ではいかにしてビルドトラップを避けて顧客に価値を届けるかを解説しています。
  • SCRUM BOOT CAMP THE BOOK 【増補改訂版】
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  • 出版社:翔泳社(2020-05-20)
  • 定価:¥ 2,640
  • スクラム初心者に向けて基本的な考え方の解説から始まり、プロジェクトでの実際の進め方やよく起こる問題への対応法まで幅広く解説。マンガと文章のセットでスクラムを短期間で理解できます。スクラムの概要を正しく理解したい人、もう一度おさらいしたい人にオススメ。
  • みんなでアジャイル ―変化に対応できる顧客中心組織のつくりかた
  • 著者/訳者:Matt LeMay / 吉羽龍太郎、永瀬美穂、原田騎郎、有野雅士
  • 出版社:オライリージャパン(2020-3-19)
  • 定価:¥ 2,640
  • アジャイルで本当の意味での成果を出すには、開発チームだけでアジャイルに取り組むのではなく、組織全体がアジャイルになる必要があります。本書にはどうやってそれを実現するかのヒントが満載です
  • レガシーコードからの脱却 ―ソフトウェアの寿命を延ばし価値を高める9つのプラクティス
  • 著者/訳者:David Scott Bernstein / 吉羽龍太郎、永瀬美穂、原田騎郎、有野雅士
  • 出版社:オライリージャパン( 2019-9-18 )
  • 定価:¥ 3,132
  • レガシーコードになってから慌てるのではなく、日々レガシーコードを作らないようにするにはどうするか。その観点で、主にエクストリームプログラミングに由来する9つのプラクティスとその背後にある原則をわかりやすく説明しています。
  • Effective DevOps ―4本柱による持続可能な組織文化の育て方
  • 著者/訳者:Jennifer Davis、Ryn Daniels / 吉羽 龍太郎、長尾高弘
  • 出版社:オライリージャパン( 2018-3-24 )
  • 定価:¥ 3,888
  • 主にDevOpsの文化的な事柄に着目し、異なるゴールを持つチームが親和性を高め、矛盾する目標のバランスを取りながら最大限の力を発揮する方法を解説します
  • ジョイ・インク 役職も部署もない全員主役のマネジメント
  • 著者/訳者:リチャード・シェリダン / 原田騎郎, 安井力, 吉羽龍太郎, 永瀬美穂, 川口恭伸
  • 出版社:翔泳社( 2016-12-20 )
  • 定価:¥ 1,944
  • 米国で何度も働きやすい職場として表彰を受けているメンローの創業者かつCEOであるリチャード・シェリダン氏が、職場に喜びをもたらす知恵や経営手法、より良い製品の作り方などを惜しみなく紹介しています
  • アジャイルコーチの道具箱 – 見える化の実例集
  • 著者/訳者:Jimmy Janlén / 原田騎郎, 吉羽龍太郎, 川口恭伸, 高江洲睦, 佐藤竜也
  • 出版社:Leanpub( 2016-04-12 )
  • 定価:$14.99
  • この本は、チームの協調とコミュニケーションを改善したり、行動を変えるための見える化の実例を集めたものです。96個(+2)の見える化の方法をそれぞれ1ページでイラストとともに解説しています。アジャイル開発かどうかに関係なくすぐに使えるカタログ集です
  • カンバン仕事術 ―チームではじめる見える化と改善
  • 著者/訳者:原田騎郎 安井力 吉羽龍太郎 角征典 高木正弘
  • 出版社:オライリージャパン( 2016-03-25 )
  • 定価:¥ 2,138
  • チームの仕事や課題を見える化する手法「カンバン」について、その導入から実践までを図とともにわかりやすく解説した書籍。カンバンの原則などの入門的な事柄から、サービスクラス、プロセスの改善など、一歩進んだ応用的な話題までを網羅的に解説します。
  • Software in 30 Days スクラムによるアジャイルな組織変革“成功"ガイド
  • 著者/訳者:Ken Schwaber、Jeff Sutherland著、角征典、吉羽龍太郎、原田騎郎、川口恭伸訳
  • 出版社:アスキー・メディアワークス( 2013-03-08 )
  • 定価:¥ 1,680
  • スクラムの父であるジェフ・サザーランドとケン・シュエイバーによる著者の日本語版。ビジネス層、マネジメント層向けにソフトウェア開発プロセス変革の必要性やアジャイル型開発プロセスの優位性について説明
  • How to Change the World 〜チェンジ・マネジメント3.0〜
  • 著者/訳者:Jurgen Appelo, 前川哲次(翻訳), 川口恭伸(翻訳), 吉羽龍太郎(翻訳)
  • 出版社:達人出版会
  • 定価:500円
  • どうすれば自分たちの組織を変えられるだろう?それには、組織に変革を起こすチェンジ・マネジメントを学習することだ。アジャイルな組織でのマネージャーの役割を説いた『Management 3.0』の著者がコンパクトにまとめた変化のためのガイドブック