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ryuzeeによるブログ記事。不定期更新

プロダクトオーナーのアンチパターン

みなさんこんにちは。@ryuzeeです。

スクラムにおいてプロダクトオーナーは非常に重要な役割を果たしますが、一方でうまくやるのが難しい役割でもあります。 たとえばプロダクトオーナーには、ビジネス価値を最大化する、プロダクトのビジョンを周りに示して理解させる、プロダクトバックログを管理する、ステークホルダーをマネージする、開発チームの成果物の受け入れ可否を判定するといった多岐に渡る責任があり、限られた時間の中でバランスを取りながらやっていかなければいけません。

今回は、こういうのは避けようというアンチパターンを紹介します。

そもそも…

  • 多忙すぎるプロダクトオーナー
  • 不在のプロダクトオーナー
  • スクラムイベントに参加しないプロダクトオーナー
  • 単にマネージャーやリーダーという理由だけのプロダクトオーナー
  • そもそも複数人で意思決定権限が分散されたプロダクトオーナー
  • プロダクトオーナーとスクラムマスターを兼任する
  • スクラムマスターと対話できない、スクラムマスターからのフィードバックを受け入れない

開発チームやスクラムマスターとの関わり方

  • 開発チームとプロダクトオーナーという対立軸で理解しておりスクラムチームの一員という自覚がない
  • 開発チームのやり方(How)に口を出す、指示する
  • 開発チームの見積りに疑問を投げかける
  • 開発チームが技術的負債に取り組むことを許可しない
  • 開発チームのメンバーがステークホルダーと直接話すことを許可しない
  • 開発チームとのコミュニケーションをメールや電子ツールに頼りすぎて、対面でのコミュニケーションが不足
  • 開発チームからの質問に回答したがらない、回答しない
  • 開発チームの話を聞かない
  • 開発チームに何をする必要があるか指示し、マネージャーとして行動する
  • 開発チームの行動や進捗やタスクの状況を監視する
  • 開発チームとプロダクトオーナーの関係性に受発注の図式を投影している

ステークホルダーとの関わり

  • ステークホルダーに「No」を言わず、プロダクトバックログがどんどん肥大化する
  • ステークホルダーなどに惑わされて頻繁にプロダクトバックログの並び順を変更する
  • ステークホルダーをスプリントレビューに招待しない
  • ステークホルダーや顧客のニーズや意見を聞きにいかない
  • ビジネスのKGIやKPIにコミットしていない

プロダクト

  • アイデアを実装する前にアイデアを検証しない
  • 開発中のプロダクトに対するビジョンの欠如
  • 役に立つ機能よりも、多くの機能を提供することに価値をおいている
  • 品質に重点を置かない

プロダクトバックログ

  • なぜそのプロダクトバックログアイテムが必要なのか理由を明らかにしない
  • 大きすぎるプロダクトバックログを分割していない
  • 細かすぎるプロダクトバックログを用意してしまう(交渉の余地がなくなってしまう)
  • ビジネス関連のプロダクトバックログに焦点を当てるのではなく、技術の観点でプロダクトバックログを表現する
  • プロダクトバックログアイテムに明確な受け入れ基準を用意していない
  • 開発チームにプロダクトバックログアイテムの作成を丸投げして、成果だけ確認する
  • Readyでないプロダクトバックログアイテムを開発するよう押し付ける
  • プロダクトバックログアイテムの優先順位付けをしない
  • 明確な優先順位付けの考え方がない

スプリントでの活動

  • 見積りを締め切りとみなす
  • スプリントプランニングで決めたプロダクトバックログアイテムすべてを完成させるために、開発チームに残業を求める
  • スプリント中に優先順位を変更する
  • スプリント中に要件を変更する
  • 受け入れ確認が恣意的だったり、追加要求を出す
  • 部分的にしか完成していないプロダクトバックログアイテムを受け入れてしまう

それでは。

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株式会社アトラクタでは、アジャイル開発に取り組むチーム向けのコーチングや、認定スクラムマスター研修などの各種トレーニングを提供しています。ぜひお気軽にご相談ください。

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  • 著者/訳者:Gunther Verheyen / 吉羽龍太郎 原田騎郎 永瀬美穂
  • 出版社:オライリージャパン(2021-03-23)
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  • スクラムはアジャイル開発のフレームワークですが、その実装は組織やチームのレベルに応じてさまざまです。本書はスクラムの実践において、さまざまな課題に対処してきた実践者が自らの経験や考え方を語るエッセイ集です。日本語書き下ろしコラムを追加で10本収録
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  • みんなでアジャイル ―変化に対応できる顧客中心組織のつくりかた
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  • アジャイルで本当の意味での成果を出すには、開発チームだけでアジャイルに取り組むのではなく、組織全体がアジャイルになる必要があります。本書にはどうやってそれを実現するかのヒントが満載です
  • レガシーコードからの脱却 ―ソフトウェアの寿命を延ばし価値を高める9つのプラクティス
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  • レガシーコードになってから慌てるのではなく、日々レガシーコードを作らないようにするにはどうするか。その観点で、主にエクストリームプログラミングに由来する9つのプラクティスとその背後にある原則をわかりやすく説明しています。
  • Effective DevOps ―4本柱による持続可能な組織文化の育て方
  • 著者/訳者:Jennifer Davis、Ryn Daniels / 吉羽 龍太郎、長尾高弘
  • 出版社:オライリージャパン( 2018-3-24 )
  • 定価:¥ 3,888
  • 主にDevOpsの文化的な事柄に着目し、異なるゴールを持つチームが親和性を高め、矛盾する目標のバランスを取りながら最大限の力を発揮する方法を解説します
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  • 著者/訳者:リチャード・シェリダン / 原田騎郎, 安井力, 吉羽龍太郎, 永瀬美穂, 川口恭伸
  • 出版社:翔泳社( 2016-12-20 )
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  • 米国で何度も働きやすい職場として表彰を受けているメンローの創業者かつCEOであるリチャード・シェリダン氏が、職場に喜びをもたらす知恵や経営手法、より良い製品の作り方などを惜しみなく紹介しています
  • アジャイルコーチの道具箱 – 見える化の実例集
  • 著者/訳者:Jimmy Janlén / 原田騎郎, 吉羽龍太郎, 川口恭伸, 高江洲睦, 佐藤竜也
  • 出版社:Leanpub( 2016-04-12 )
  • 定価:$14.99
  • この本は、チームの協調とコミュニケーションを改善したり、行動を変えるための見える化の実例を集めたものです。96個(+2)の見える化の方法をそれぞれ1ページでイラストとともに解説しています。アジャイル開発かどうかに関係なくすぐに使えるカタログ集です
  • カンバン仕事術 ―チームではじめる見える化と改善
  • 著者/訳者:原田騎郎 安井力 吉羽龍太郎 角征典 高木正弘
  • 出版社:オライリージャパン( 2016-03-25 )
  • 定価:¥ 2,138
  • チームの仕事や課題を見える化する手法「カンバン」について、その導入から実践までを図とともにわかりやすく解説した書籍。カンバンの原則などの入門的な事柄から、サービスクラス、プロセスの改善など、一歩進んだ応用的な話題までを網羅的に解説します。
  • Software in 30 Days スクラムによるアジャイルな組織変革“成功"ガイド
  • 著者/訳者:Ken Schwaber、Jeff Sutherland著、角征典、吉羽龍太郎、原田騎郎、川口恭伸訳
  • 出版社:アスキー・メディアワークス( 2013-03-08 )
  • 定価:¥ 1,680
  • スクラムの父であるジェフ・サザーランドとケン・シュエイバーによる著者の日本語版。ビジネス層、マネジメント層向けにソフトウェア開発プロセス変革の必要性やアジャイル型開発プロセスの優位性について説明
  • How to Change the World 〜チェンジ・マネジメント3.0〜
  • 著者/訳者:Jurgen Appelo, 前川哲次(翻訳), 川口恭伸(翻訳), 吉羽龍太郎(翻訳)
  • 出版社:達人出版会
  • 定価:500円
  • どうすれば自分たちの組織を変えられるだろう?それには、組織に変革を起こすチェンジ・マネジメントを学習することだ。アジャイルな組織でのマネージャーの役割を説いた『Management 3.0』の著者がコンパクトにまとめた変化のためのガイドブック