認定スクラムマスター(CSM®、Certified ScrumMaster)完全ガイド

資格・認定の内容・研修・試験・費用・他資格との比較

最終更新: 2026年8月8日 筆者: Ryutaro Yoshiba(認定スクラムトレーナー(CST))
Contents

このガイドについて

スクラムマスターの認定や資格を調べ始めると、CSM、PSM、RSMといった略語が並んでいて、どれが何なのか分かりにくいと思います。値段もかなり違うし、比較記事はたくさんあるものの、書いている人が実際に研修や試験に関わっているとは限りません。

筆者(Ryutaro Yoshiba、@ryuzee)は認定スクラムマスター(CSM)研修を提供できるScrum Alliance認定スクラムトレーナー(CST)で、これまで数多くのCSM研修を実施してきました。このページでは、その立場から、CSMという認定の中身、研修で実際に何をやるのか、試験の難易度、費用と更新、他の資格との違いを一通り全部説明します。長いので、目次から必要なところに飛んでください。

What is CSM

認定スクラムマスター(CSM)とは

認定スクラムマスター(Certified ScrumMaster®、以下CSM)は、Scrum Allianceが認定するスクラムマスターの認定です。Scrum Allianceは2001年に設立された、スクラムの認定団体としては世界で最も歴史のある非営利組織で、CSMはその入り口にあたる認定です。世界中で最も広く取得されているスクラム関連の認定のひとつであり、求人票で「CSM歓迎」と書かれているのを見たことがある人も多いと思います。

CSMの最大の特徴は、認定スクラムトレーナー(CST)による研修(休憩を含めて最低16時間)を受講することが必須だという点です。本を読んで独学し、オンラインで試験だけ受けて取る、ということはできません。研修は2〜3日に分けて実施されることが多いですが、16時間はあくまで最低ラインで、これより長い日程で行われることもあります。CSTはScrum Allianceによる厳格な審査を通過したトレーナーで、世界で約250人しかいません。つまりCSMは「知識を持っていること」だけでなく「経験豊富で高い基準を満たす講師のもとでまとまった時間スクラムを体験したこと」を証明する認定だと言えます。

研修を修了すると、オンラインで受けられる認定試験の案内が届きます。これに合格し、ライセンス条項に同意すると、CSMとして認定されます。認定の有効期間は2年間で、継続的な学習を条件に更新していく仕組みです(詳細は更新の章で説明します)。

認定団体
Scrum Alliance(2001年設立・非営利)
取得要件
CSTによる研修(休憩を含めて最低16時間)の受講 + 認定試験合格
試験
50問・60分・正答74%(37問)以上で合格
有効期間
2年間(SEUの取得と更新料で更新)
日本語対応
日本語での研修あり。試験も日本語で受験可能

なお、CSMはあくまで「基礎」の認定です。スクラムマスター向けの上位の認定として、A-CSM(Advanced Certified ScrumMaster)、さらにCSP-SM(Certified Scrum Professional - ScrumMaster)が続きます。またScrum Allianceには、これらとは別に、トレーナー向けのCST(Certified Scrum Trainer)やコーチ向けのCTC(Certified Team Coach)といった認定もあります(なおCTCは現在新規の認定は停止しています)。筆者このCSTとCTCを保持しています。

Scrum Master

そもそもスクラムマスターとは何をする人か

認定の話に入る前に、スクラムマスターという役割を簡単に説明しておきましょう。ここを誤解したままだと、あとで苦労するからです。

スクラムガイドでは、スクラムマスターは「スクラムガイドで定義されたスクラムを確立させることの結果に責任を持つ」とされています。つまり、スクラムのイベントを進行すること自体が仕事なのではなく、チームや組織でスクラムが機能している状態に対して説明責任を負います。具体的には、チームの自己管理を支援する、スクラムのイベントが目的を果たすようにする、チームの進捗を妨げる障害物の除去を支援する、組織にスクラムの理解を広める、といった活動をします。

よくある誤解は「スクラムマスター=進行役・議事録係」「スクラムマスター=進捗管理・タスクアサイン係」「スクラムマスター=プロジェクトマネージャーの言い換え」というものです。どれもまったく違います。スクラムマスターはチームに指示を出して管理する人ではなく、チームが自分たちで判断して動けるように支援する人です。チームの代わりに問題を解決するのではなく、チームが自分たちで問題を扱えるようにする、という動き方は、文章を読むだけではなかなか身につかず、研修や実践で体験して初めて腹落ちする部分でもあります。

スクラムマスターの仕事内容そのものについては、このブログの他の記事やFAQでも繰り返し書いているので、そちらも参照してください。

Process

取得までの流れ

CSM取得までの流れはシンプルです。全体像を先に示すと次の4ステップです。

1
研修に申し込む

CSTが提供する認定スクラムマスター研修(最低16時間)を選んで申し込む。オンライン開催と対面開催があります。

2
研修を受講する

座学だけでなくワークショップも多数あります。全日程でフル参加することが求められます。

3
認定試験を受ける

研修修了後、案内に従ってオンラインで受験。修了から90日以内は2回まで追加費用なし。

4
認定完了

合格しライセンス条項に同意するとCSMとして認定。認定証・バッジとScrum Allianceの2年間のメンバーシップが付きます。

受講前に必要な資格や実務経験はありません。スクラム未経験でも受講できます。ただし、事前にスクラムガイド(無料で公開されている十数ページの文書)を読んでおくことを強くお勧めします。そうすることで、研修の時間を「用語を覚える時間」ではなく「理解を深める時間」に使えるようになります。

研修から認定までの所要時間は短く、最短なら研修(16時間)+試験1時間です。多くの人は研修から1〜2週間以内に試験を受けて合格しています。

Training

研修では何をするのか

Scrum Allianceでは、CSMのラーニングオブジェクティブ(学習目標)を定めており、すべての講師はそれを達成するように研修を行う必要があります。学習目標をどのような方法で達成するかについてはCSTごとに違います。共通しているのは、講義を聞くだけで終わる研修ではなく、ワークショップやディスカッションを通じて学ぶことが求められていることです。

扱うテーマ

研修で扱う主なテーマは次のようなものです。

  • スクラムの土台 ― なぜスクラムなのか。経験主義(透明性・検査・適応)とスクラムの価値基準が個々のルールの背後でどう働いているか
  • スクラムチームの構造 ― プロダクトオーナー、スクラムマスター、開発者それぞれの責任とそれぞれの関係
  • スクラムイベント ― スプリント、スプリントプランニング、デイリースクラム、スプリントレビュー、スプリントレトロスペクティブのそれぞれの目的
  • 作成物とコミットメント ― プロダクトバックログ(プロダクトゴール)、スプリントバックログ(スプリントゴール)、インクリメント(完成の定義)
  • スクラムマスターの実際の仕事 ― ファシリテーション、コーチング、障害物への対処、組織への働きかけ

「知っている」と「できる」の間を埋める

正直なところ、上に挙げたような知識だけであれば、スクラムガイドと本を読めば学べます。研修の価値はそこにはありません。たとえば、筆者の研修では、グループでのワークショップやディスカッションを通じて「知識としては知っていても、実際にやろうとするとうまくいかない」場面を意図的に体験してもらいます。たとえば、限られた時間でチームとして何かを作るワークショップをすると、計画の立て方、コミュニケーションの取り方、レトロスペクティブの質が成果にどう影響するかが、体感として分かるようになります。

また、受講者同士のディスカッションから学ぶことも多いはずです。CSM研修には、これからスクラムを始める人、すでに現場で苦労している人、マネージャーとして送り込まれた人など、さまざまな立場の人が参加します。自分の現場とは違う悩みを聞くこと自体が、スクラムマスターとして視野を広げる訓練になります。

オンラインと対面

現在は、オンライン開催と対面開催の両方が一般的です。オンラインでもブレイクアウトルームやオンラインホワイトボードを使ったワークショップは成立します(新型コロナウィルスの時期にみなさん慣れました)。移動不要で参加しやすいのはオンラインの利点、休憩時間の雑談も含めて濃い時間になりやすいのは対面の利点です。学習効果の面でどちらかが決定的に優れているということはないので、参加しやすい形式を選べば良いと思います。

Exam

試験の内容と難易度

研修を終えると、認定試験の受験案内が届きます。試験の概要は次のとおりです(2026年8月時点)。

形式
オンライン・多肢選択式
問題数
50問
制限時間
60分
合格ライン
正答74%以上(50問中37問)
受験回数
研修修了後90日以内は2回まで無料。以降は1回25米ドル
出題範囲
CSMラーニングオブジェクティブとスクラムガイド

試験中は問題をブックマークして後から見直すことができ、途中で前の問題に戻ることもできます。時間切れで解き終わらないという人はほとんどいません。

実際どのくらい難しいのか

研修に主体的に参加した人にとっては、十分に合格点を取れるのではないかと思います(講師としては全員が合格できるよう研修を行いますが、当然ながらそれを保証するわけではないので、自身で全力を尽くしてください)。出題は研修で扱った内容とスクラムガイドの範囲からで、「『交差点を曲がるときは注意しなければならない』は正しいか」みたいな意地悪なひっかけ問題を大量に解かせるタイプの試験ではないはずです(なおCSTは試験問題を知らないので、この点については筆者が過去に受験したときの経験をもとにそう判断しています)。仮に1回目で不合格でも、もう1回無料で受験できます。

注意してほしいのは、試験の難易度とスクラムマスターの仕事の難易度はまったく別だという点です。CSMはスタートラインの認定です。実際にスクラムマスターの仕事をするときの難しさは認定取得のあと、ご自身の現場で始まります。

試験対策

特別な対策は不要ですが、やるとすれば次の3つです。

  • スクラムガイドを何度も読み直す ― 研修後に改めて読むと、初見のときとは理解度が変わっているはずです。用語の定義を正確に押さえてください。
  • アジャイルマニフェストを何度も読み直す ― アジャイルマニフェストも試験範囲に含まれます。4つの価値観と12の原則を説明できるようにしてください。
  • 研修の資料と自分のメモを見返す ― ワークショップなどで自身が体験したことと知識を結びつけるのがいちばん効果的な復習になると思います。
Cost

費用

CSM取得の費用は、実質的に「研修の受講料」がすべてです。日本語で提供されるCSM研修の受講料は、提供者や開催形式によって幅がありますが、概ね20万円台から30万円前後が相場です。この受講料には、通常次のものが含まれています。

  • 研修(休憩を含めて最低16時間)の受講
  • 認定試験の受験(90日以内2回分)
  • Scrum Allianceの2年間のメンバーシップ
  • 認定後のCSM認定証・デジタルバッジ

つまり、研修に申し込んだあとに試験料や認定料を別途請求されることはありません(90日を過ぎた場合や3回目以降の受験は、前述のとおり1回25米ドルかかります)。取得後2年ごとの更新時には別途費用がかかります(次章)。

安い金額ではないので、個人で払うか会社に出してもらうか迷う人も多いと思いますが、会社の研修費用で受講する人がかなりの割合を占めます。一方で、この金額を払う前に、取得後にスクラムやアジャイル開発を実践する機会があるかどうかは考えたほうがよいです。資格だけが目的なら、後述するPSM Iのような別の選択肢のほうが合理的な場合もあります(試験だけで済みます)。

具体的な受講料と開催日程は、各研修提供者のページで確認してください。

Renewal

認定の更新(SEU)

CSMは一度取ったら終わりではなく2年ごとの更新制です。更新には次の2つが必要です(2026年8月時点)。

  • SEU(Scrum Education Unit)を20ポイント取得する ― SEUは継続学習の単位で、学習活動1時間が1SEUに相当します
  • 更新料100米ドルを支払う

「更新のためにまた試験を受けるのか」と心配する人がいますが、更新に試験はありません。求められるのは学び続けていることの証明です。

SEUはどうやって貯めるのか

SEUの対象になる活動は幅広く、次のようなものが含まれます。

  • スクラムやアジャイルに関するイベント・カンファレンスへの参加
  • ウェビナーや動画教材での学習、書籍・記事を読むこと
  • コミュニティ活動やボランティア
  • Scrum Allianceが提供するオンラインリソースの利用

スクラムマスターとして働きながら、勉強会への参加や書籍・記事での学習を続けていれば、無理なく貯められる量だと思います。日本国内ではRegional Scrum Gathering Tokyoや各地のスクラムフェスなど、スクラム関連のカンファレンスや勉強会は盛んなので、対象になる活動を見つけるのに困ることは少ないはずです。

もうひとつ知っておくと良いのは、上位の認定を取得すると、それ自体で既存の認定が更新されることです。たとえばCSM取得後にA-CSMやCSPO(認定スクラムプロダクトオーナー)を取れば、SEUを個別に積み上げなくてもCSMは更新されます。学び続けてキャリアを積む人ほど更新の手間が減るようになっています。

Benefits

CSMを取得するメリット

身も蓋もないですが、認定を取っただけでは、良いスクラムマスターにはなれません。CSMを持っていても現場で機能しない人はいますし、認定がなくても優れたスクラムマスターはいます。それを踏まえたうえで、CSMを取得する意味は十分にあります。個人と組織に分けて説明します。

個人にとってのメリット

  • 体系的な土台ができる ― 断片的な知識や我流の理解を一度きちんと整理できます。「うちのスクラム」しか知らない状態から、スクラムの原則に立ち返れるようになります。
  • 対外的に通じる証明になる ― 転職市場や社内異動において、スクラムの基礎を訓練された講師のもとで学んだことの証明になります。特に世界的に知名度の高い認定であるため、外資系企業やグローバル案件でも通じます。当然ながらA-CSMやCSPのほうが対外的には高く評価されます。
  • コミュニティへの入り口になる ― Scrum Allianceのメンバーシップや、研修で出会った講師や他の受講生とつながりを作れます。スクラムマスターは社内で孤独になりがちなので、社外に相談相手がいることの価値は大きいです。
  • キャリアパスの起点になる ― A-CSM、CSP-SMを目指して、新たな学習を進めることで、自身のパフォーマンスを向上したり、今後のキャリアパスを広げたりすることができます。

組織にとってのメリット

  • 共通言語ができる ― チームや部門でまとめて受講すると、スクラムの用語と原則についての共通理解ができ、導入時の無用な論争が減ります。
  • 我流化の防止 ― スクラムの形だけ真似て中身が伴わない「なんちゃってスクラム」は、原則の理解が浅いことに加えて、既存の組織構造や管理のやり方を変えないままイベントだけを導入することで起きます。研修だけですべてが解決するわけではありませんが、最初に正しく理解するのは、後から問題を直すよりよっぽど安く済みます。
  • 育成投資として説明しやすい ― 国際的な認定であり、共通の学習目標に基づいて設計されているため、育成施策として稟議を通しやすい部類です。

受講の動機として意外に多いのが、「すでにスクラムマスターをやっているが、これで合っているのか不安」というものです。この動機はとても健全で、研修で他の人たちの話を聞き、原則に照らして自分のやり方を点検する機会は、独学ではなかなか得られません。

Comparison

PSM・RSMとの比較

スクラムマスターの認定・資格として、日本で比較対象になりやすいのは、CSMのほかにScrum.orgのPSM(Professional Scrum Master)と、Scrum Inc.のRSM(Registered Scrum Master®)です。Scrum AllianceとScrum.orgは、いずれもスクラム共同考案者のケン・シュエイバーが設立に関わった団体です(Scrum.orgは彼がScrum Allianceを離れて2009年に設立)。Scrum Inc.はもう一人の共同考案者、ジェフ・サザーランドの会社です。つまり3つとも出自は正統で、「どれが本物か」という問いには意味がありません。違うのは研修の要否、試験、更新制度といった仕組みです。

主要スクラムマスター認定・資格の比較(2026年8月時点の情報。最新の条件は各団体の公式サイトで確認してください)
項目本ガイドの主役
CSM
Scrum Alliance
PSM I
Scrum.org
RSM
Scrum Inc.
認定団体Scrum Alliance(2001年〜)Scrum.org(2009年〜)Scrum Inc.
研修必須(CSTによる16時間以上)不要(任意)必須(2日間)
試験50問・60分・74%以上
研修後90日以内2回まで無料
80問・60分・85%以上
1回200米ドル
研修後にオンライン試験
2回目まで無料、以降1回25米ドル
費用の目安研修受講料に試験・認定を含む
(日本語研修は概ね20〜30万円前後)
試験のみなら200米ドル
(研修を受ける場合は別途)
研修受講料に試験を含む
(日本語研修は20万円台〜)
有効期間2年無期限(更新不要)1年
更新要件SEU 20 + 100米ドルなし更新試験 + 更新料
(1年・5年・永年プランあり)
日本語対応研修・試験とも日本語可試験は2025年から日本語版あり
研修は提供者による
研修・試験とも日本語あり
(Scrum Inc. Japanが提供)
上位の認定・資格A-CSM → CSP-SM
(ほかにCST・CTCなどの認定あり)
PSM II → PSM IIIRPO(プロダクトオーナー)など

比較のポイント1: 研修が必須かどうか

この3つの最大の分岐点はここです。PSM Iは試験だけで取得でき、費用は200米ドルで済みます。その代わり合格ラインは85%と高く、スクラムガイドの正確な理解を独学で作り上げる必要があります。一方、CSMとRSMは研修が必須で、費用は上がりますが、体験を通じた学習と講師・受講者との対話が組み込まれています。

これは「どちらが楽か」ではなく「何にお金と時間を使うか」の違いです。知識の証明が目的で、独学の習慣がある人にはPSM Iは合理的な選択です。スクラムを体験として学びたい、あるいはこれからチームで実践するために腹落ちさせたいなら、研修必須型のCSMやRSMに価値があります。

比較のポイント2: 更新の思想

PSM Iは一度取れば生涯有効です。RSMは1年ごとに更新試験があります。CSMは2年ごとに、試験ではなく継続学習の証明(SEU)で更新します。更新制度の違いからは、各団体が重視しているものの違いが見えてきます。Scrum.orgは「知識の証明は一度で足りる」、Scrum Inc.は「知識を定期的に再確認する」、Scrum Allianceは「学び続けていることを証明し続ける」という設計です。どれを好むかは人によるでしょう。私自身は、スクラムマスターの実力は知識よりも実践と学習の継続で決まると考えているので、更新制自体は理にかなっていると思っています。

比較のポイント3: 日本語での学びやすさ

CSMとRSMは、研修から試験まで日本語で完結できます。PSM Iも2025年に試験の日本語版がリリースされ、以前より取り組みやすくなりました。ただしPSMの周辺リソース(公式の学習資料やフォーラム)は英語中心なので、独学で深く掘るなら英語をある程度読めたほうが有利です。

Who

どんな人に向いているか

ここまでの内容を踏まえて、CSMが向いているケースと、別の選択肢を検討したほうが良いケースを整理します。

CSMが向いている人

  • これからスクラムマスターを担う人・任命された人 ― 最初に原則を体験込みで学ぶことが、その後の効果的な実践に直結します。
  • すでにスクラムマスターをやっているが、イベントの進行役になってしまっている自覚がある人 ― 原則に立ち返って、自分の仕事を定義し直すきっかけになります。現場経験がある人ほど、研修での気づきは多くなります。
  • 自社のやり方しか知らず、どこまでがスクラムでどこからが会社固有のルールなのか分からなくなっている人 ― 標準を一度きちんと学ぶと、この切り分けができるようになります。
  • プロダクトオーナーやマネージャーなど、スクラムマスターと協働する人 ― スクラムを理解することでチームとうまく関われるようになります。
  • チームや組織でスクラム導入を進めている企業 ― まとめて受講して共通言語を作る使い方が有効です。

別の選択肢を検討したほうが良い人

  • 費用を最小限にして知識だけ証明したい人 ― PSM Iの独学取得が合理的です。スクラムガイドを読み込む力があれば十分取得可能です。
  • スクラムの概要を軽く知りたいだけの人 ― 資格の前に、スクラムガイドと入門書を読むところから始めるのが良いでしょう。研修は「これから実践する」段階で受けたほうが費用対効果が大きいと思います。

「取得後に実践する予定があるか」はぜひご自身で事前に確認してください。実践の予定があるなら、研修型の学びは費用に見合うものになるはずです。一方で、予定がないなら急いで取る必要はありません。必要になったときに認定を取得しましょう。

FAQ

よくある質問

ここに載せているのは、私が研修の場で受講者から実際によく受ける質問です。

開発の経験がなくても受講できますか?

できます。CSM研修に前提資格や実務経験の要件はなく、実際にエンジニア以外の受講者はたくさんいます。企画職、マネージャー、人事、営業出身のスクラムマスターも珍しくありません。スクラムはソフトウェア開発から生まれたフレームワークですが、研修で扱う内容の中心は「チームでどう協働し、どう改善し続けるか」であって、プログラミングの知識は要求されません。

英語ができなくても大丈夫ですか?

日本語で提供される研修を選べば、研修も試験も日本語で完結します。Scrum Allianceからの事務的なメールは英語のものもありますが、手続きに困るレベルではありません。

試験に落ちることはありますか?落ちたらどうなりますか?

ゼロではありませんが、研修にきちんと参加した人であれば過度に心配する必要はありません。仮に不合格でも、研修修了後90日以内なら2回まで無料で受験でき、それ以降も1回25米ドルで再受験できます。研修を受け直す必要はありません。

認定を取れば、スクラムマスターとして働けますか?

認定はスタートラインであって、実力の証明ではありません。CSMが証明するのは「基礎を体系的に学んだこと」です。現場で機能するスクラムマスターになるには、その後の実践と継続的な学習が必要です。ただ、スタートラインとして、訓練された講師のもとでまとまった時間学ぶことには十分な意味があります。

CSMとPSM、どちらを取るべきですか?

体験を通じて学びたいならCSM、独学で知識を証明したいならPSM Iが向いています。詳しくは比較の章を読んでください。両方取ることも普通にあります。

会社の費用で受講する人は多いですか?

多いです。スクラム導入を進めている組織では、育成予算での受講はごく一般的です。チームや部署単位でまとめて受講するケースもよくあります。稟議には、国際的な認定団体の共通の学習目標に基づいて設計された研修であること、認定・試験まで受講料に含まれることを書くと説明しやすいと思います。

更新は大変ですか?

2年で20SEU、つまり月1時間弱の学習で足ります。カンファレンス参加、勉強会、書籍、動画など対象は幅広いので、この分野で学び続けている人なら無理なく貯められます。上位の認定を取ればそれ自体で更新される仕組みもあります。

スクラムマスターとプロジェクトマネージャーは何が違うのですか?

プロジェクトマネージャーは計画・進捗・リソースの管理に責任を持つ役割として設計されていることが多いのに対し、スクラムマスターはチームが自分たちで管理できるようになることを支援する役割です。指示を出す人ではなく、チームと組織の能力を引き上げる人です。この違いは研修の中でも重点的に扱います。マネジメント経験者ほど、この転換に最初は戸惑い、そして得るものが大きい印象があります。

オンラインと対面、どちらで受けるのが良いですか?

学習効果に決定的な差はありません。オンラインは参加のしやすさ、対面は場の濃さがそれぞれの利点です。ワークショップは実施形態にあわせて設計されています。自分が研修に集中できる環境を基準に選んでください。

研修だけで本当に身につきますか?

研修で身につくのは「正しい土台と、現場で考えるための枠組み」です。すべてが身につくわけではありませんし、そう約束する研修があったら疑ったほうが良いです。大事なのは、研修で得た枠組みを持ち帰って、自分の現場で試し、うまくいかない部分を振り返ることです。スクラム自体が検査と適応のフレームワークなので、学び方もそうあるべきだと思っています。

Summary

まとめ

長くなったので要点をまとめます。

  • CSMはScrum Allianceが認定する、世界的に広く知られたスクラムマスター向けの認定のひとつで、CSTによる研修(休憩を含めて最低16時間)の受講が必須です。
  • 試験は50問・60分・正答74%で、研修に真面目に参加すれば難易度は高くありません。無料の再受験もあります。
  • 費用は研修受講料にほぼすべて含まれ、2年ごとにSEUと更新料で更新します。更新は月1時間弱の学習で足りる設計です。
  • PSM Iは独学・試験のみで取得できる合理的な選択肢、RSMは日本語で完結する研修必須型の資格で、CSMとの違いは優劣ではなく思想と仕組みの違いです。
  • 認定はスタートラインです。取得後に実践する予定があるかどうかが、受講の価値を決めます。

CSMを取る価値は、認定名を履歴書に書けることよりも、自分たちのスクラムを原則に照らして見直せるようになることにあります。研修を受けただけでスクラムマスターになれるわけではありません。しかし、これから何を学び続けるべきかを理解するスタート地点としては有効だと考えています。

Training

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研修の詳細・お申し込みはこちら

本記事の試験・費用・更新に関する情報は2026年8月時点のものです。認定条件は変更されることがあるため、最新の情報は各認定団体(Scrum Alliance、Scrum.org、Scrum Inc.)の公式サイトで確認してください。Certified ScrumMaster®、CSM®はScrum Allianceの、Professional Scrum Master™はScrum.orgの、Registered Scrum Master®はScrum Inc.の商標または登録商標です。

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