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「PdM廃止」という言葉に振り回されない

みなさんこんにちは。@ryuzeeです。 2026年3月4日に新刊の訳書『Aligned ―プロダクト開発におけるステークホルダーとの関係性の築き方』がオライリー・ジャパンから発売になりましたのでよろしくお願いします。

本記事は、先日Xに書いた記事の転載です。


最近、「PdM(プロダクトマネージャー)の職種を廃止して、FDE(Forward Deployed Engineer)中心の組織にした」って話が話題になってますね。

で、皆さん釣られてあーだこーだ言っている(僕もかw)わけですが、冷静に考えると、この手の話は生成AIの登場によって発生した話ではなく、かなり昔からある話なんですよね。 たとえば、「プロジェクトマネージャーを廃止して、プロダクトマネージャーにした」みたいなやつです。

でも、この議論において重要なのは、職種名そのものじゃないです。 見るべきは、「顧客の課題を誰が理解するのか」「何を作るかを誰が決めるのか」「優先順位を誰が決めるのか」「その結果に誰が責任を持つのか」です。

もちろん、名前というのは共通理解のためにとても重要なのは間違いありません。アリストテレスは「名前をつけることが知識の始まり」と言っています。でも、名前が広がるとその名前が持つ意味の希薄化が起こります

「プロダクトマネージャーの募集要項を見てみたら、仕事内容はプロジェクトマネジメントだった」とか「スクラムマスターの募集要項を見てみたら、タスクアサインと進捗管理が仕事だった」みたいなことが起こるのはそれが理由です。「心理的安全性」という単語がクソみたいな解釈をされるのも同じですね。

なので、話が噛み合うようにするには、名前という抽象だけでなく、実際の中身である具体(このケースだと誰がどんな責任を持つのか)に焦点を当てるしかありません。そうしないと混乱に陥ります。

なぜ名前の意味が希薄化するのか

名前の意味が希薄化する理由はシンプルで、便利だから名前が広まり、広まる過程で元の文脈が抜け落ちるからです。最初に名前をつけた人や、初期の段階でそれを実践していた人たちは、その名前の中身を具体的に理解しています。例えば「スクラムマスターはこういう責任で、こういう振る舞いをして、こういう価値観を持つ」という具体が頭のなかにあります。

でも名前が広まっていく過程で、伝言ゲームのように具体が抜け落ちて、最後にはラベルだけが残ります。ラベルだけ受け取った人は、自分の業務を「これがスクラムマスターね」と当てはめて、結果として進捗管理係がスクラムマスターと呼ばれるようになるわけです。もしくは、自分が知っている既存の別の概念をもとに具体を想像します。わずか10ページ程度の分量で定義されているスクラムでさえもこういうことが起こりますw。

これは誰かが悪意を持ってやっているわけではなくて、名前が広まる構造そのものに組み込まれた現象だと考えてよいと思います。

だからこそ、「PdM」とか「FDE」という名前を使うときに、その中身を毎回確認すべきでしょうねぇ。「PdMって、具体的にどんな責任を持っていて、どんな意思決定権を持っている人なの?」という問いを持ってネットの記事を読んだほうがいいし、「自分の組織のPdMは?」という問いに答えられるようにしたほうがいいです。

言葉の定義は人によって違うと思っておいたほうが無難です(〇〇ガイドとか本とかで定義されていたとしても)。

新しいメンバーが入ってきたときに、その人が前職で使っていた「PdMの定義」と、新しい職場での「PdMの定義」が違うのは普通です。それに気づかないまま仕事をすると、大きな問題が起きるかもしれません。

ということで、他社の事例を読むときに、見出しの職種名だけであーだこーだ言っても無意味でしょうね。この場合に議論すべきは「誰がどんな責任を持って、どう意思決定をするのか」です。

ちなみに、MVPもDXも同じだからな!!

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