ブログ

ryuzeeによるブログ記事。不定期更新

【書籍紹介】Fifty Quick Ideas To Improve Your User Stories

みなさんこんにちは。@ryuzeeです。本日は書籍のご紹介です。


  • 出版社: Neuri Consulting LLP (2014/10/12)
  • Gojko Adzic、David Evans(著)
  • 価格: 1,191円(Kindle版)
  • 言語: 英語
  • ASIN: B00OGT2U7M
詳細を見る

スクラムでプロダクトバックログアイテムを用意する際に、具体的にどのような書き方をするのかは特に決められていません

「◯◯機能」といった書き方をすることもあれば、「プレミアム会員としてホテルの部屋を予約できる」のような書き方をすることもあります。 また、解決したい課題、期限、プラットフォーム、成功失敗の判断のためのKPI、リリース希望タイミング、リファレンス情報、関係者などを含めているような会社もあるようです。 いずれにせよ、仕様書ではなく、あくまで会話のための道具なので、ステークホルダーとの間やスクラムチーム内で、共通理解や合意が形成できるのであれば、どんな形でも構いません(全部を同じ形式で書かなければいけないわけでもありません)。 また、プロダクトバックログの上位ほど具体的で、下位にいけばいくほどエピックのようなものになるのが一般的で、全部同じ粒度で書くこと自体も無駄になります。

本書**『Fifty Quick Ideas To Improve Your User Stories』** (日本語にすると「良いユーザーストーリーにするための50のアイデア」) は、タイトルのとおり、ユーザーストーリーを作ったり利用する上でのTIPSを50個まとめた書籍です。 発売自体は2014年と少々前になりますが、今でも内容自体は変わることなく、アジャイル開発チームに適用可能だと思います。

それぞれの項目は数ページ程度で簡潔にまとめられており、最初から順番に読む必要もなく、必要なときに必要な箇所を読むこともできます。 英語ですが、平易な文章なので辞書なしでも大丈夫です。

著者の1人Gojko Adzicは、他にImpact Mappingなどの本も書いているアジャイル界隈では知られた人で、本書もお勧めです。

目次(の意訳)だけでも参考になると思いますので、以下に紹介しておきます。

それでは。


ユーザーストーリーの作成

  • 詳細に書き出すのではなく話して伝える
  • フォーマットにこだわりすぎない
  • ふるまいがどう変わるかを記述する
  • システムがどう変わるかを記述する
  • 生存のための実験だと考える
  • 一般的な登場人物に気をつける
  • コントロールゾーンと影響範囲を評価する
  • いつまでにできているといちばん良いかを含める

ユーザーストーリーを使った計画づくり

  • 大きなリスクに対処するための期限を設定する
  • バックログを階層構造化する
  • インパクトでストーリーをグルーピングする
  • ユーザーストーリーマップを作ってみる
  • CREATEファネルを活用する
  • マイルストーン開始時に全体の関心事を決める
  • 成長段階に応じて優先順位を変える
  • 目標への適合性で優先順位を変える
  • ステークホルダーチャートを作る
  • マイルストンに名前をつける
  • 一部のユーザーセグメントのマイルストンに着目する

ユーザーストーリーを使った議論

  • 議論にローテクの道具を使う
  • デモを想像する
  • 議論を発散したり収束したりする
  • 全部のロールで集まって議論する
  • フィードバックエクササイズを使ってアラインメントを測定する
  • 反論役を演じてみる
  • ストーリー作成時の責任範囲を分担する
  • ビジネス上の議論と技術上の議論を分ける
  • さまざまなレベルで価値を調査する
  • QUPERモデルを使ってスライディングスケールの議論をする

ユーザーストーリーの分割

  • 成果物からはじめる
  • ウォーキングスケルトンを忘れる
  • 顧客セグメントを狭める
  • 有効性の例で分割する
  • キャパシティで分割する
  • ダミーからはじめて、その後動的にする
  • 成果を単純化する
  • 学習から分割する
  • 基本的な操作を抽出する
  • それでもダメならハンバーガーをスライスするように分割する

イテレーティブなデリバリ

  • なんでもかんでもストーリーのリストに入れない
  • 見積りの代わりに予算を使う
  • 数字のストーリーサイズを避ける
  • できあがったストーリーの数を踏まえてキャパシティを見積もる
  • 分析にかかった時間を元にキャパシティを見積もる
  • 優先順位付けでなくインパクトの大きい物を選ぶ
  • 「No」とはいわないで「今じゃない」と言う
  • 一貫性の追求作業からUX部分の改良を分離する
  • UIの大きな変更では利用者にオプトインさせる
  • 実際のユーザーと一緒に成果を確認する
  • デリバリが終わったらストーリーを捨てる

アジャイルコーチングやトレーニングを提供しています

株式会社アトラクタでは、アジャイル開発に取り組むチーム向けのコーチングや、認定スクラムマスター研修などの各種トレーニングを提供しています。ぜひお気軽にご相談ください。

詳細はこちら
  • スクラム実践者が知るべき97のこと
  • 著者/訳者:Gunther Verheyen / 吉羽龍太郎 原田騎郎 永瀬美穂
  • 出版社:オライリージャパン(2021-03-23)
  • 定価:¥ 2,640
  • スクラムはアジャイル開発のフレームワークですが、その実装は組織やチームのレベルに応じてさまざまです。本書はスクラムの実践において、さまざまな課題に対処してきた実践者が自らの経験や考え方を語るエッセイ集です。日本語書き下ろしコラムを追加で10本収録
  • プロダクトマネジメント ―ビルドトラップを避け顧客に価値を届ける
  • 著者/訳者:Melissa Perri / 吉羽龍太郎
  • 出版社:オライリージャパン(2020-10-26)
  • 定価:¥ 2,640
  • プロダクト開発を作った機能の数やベロシティなどのアウトプットで計測すると、ビルドトラップと呼ばれる失敗に繋がります。本書ではいかにしてビルドトラップを避けて顧客に価値を届けるかを解説しています。
  • SCRUM BOOT CAMP THE BOOK 【増補改訂版】
  • 著者/訳者:西村直人 永瀬美穂 吉羽龍太郎
  • 出版社:翔泳社(2020-05-20)
  • 定価:¥ 2,640
  • スクラム初心者に向けて基本的な考え方の解説から始まり、プロジェクトでの実際の進め方やよく起こる問題への対応法まで幅広く解説。マンガと文章のセットでスクラムを短期間で理解できます。スクラムの概要を正しく理解したい人、もう一度おさらいしたい人にオススメ。
  • みんなでアジャイル ―変化に対応できる顧客中心組織のつくりかた
  • 著者/訳者:Matt LeMay / 吉羽龍太郎、永瀬美穂、原田騎郎、有野雅士
  • 出版社:オライリージャパン(2020-3-19)
  • 定価:¥ 2,640
  • アジャイルで本当の意味での成果を出すには、開発チームだけでアジャイルに取り組むのではなく、組織全体がアジャイルになる必要があります。本書にはどうやってそれを実現するかのヒントが満載です
  • レガシーコードからの脱却 ―ソフトウェアの寿命を延ばし価値を高める9つのプラクティス
  • 著者/訳者:David Scott Bernstein / 吉羽龍太郎、永瀬美穂、原田騎郎、有野雅士
  • 出版社:オライリージャパン( 2019-9-18 )
  • 定価:¥ 3,132
  • レガシーコードになってから慌てるのではなく、日々レガシーコードを作らないようにするにはどうするか。その観点で、主にエクストリームプログラミングに由来する9つのプラクティスとその背後にある原則をわかりやすく説明しています。
  • Effective DevOps ―4本柱による持続可能な組織文化の育て方
  • 著者/訳者:Jennifer Davis、Ryn Daniels / 吉羽 龍太郎、長尾高弘
  • 出版社:オライリージャパン( 2018-3-24 )
  • 定価:¥ 3,888
  • 主にDevOpsの文化的な事柄に着目し、異なるゴールを持つチームが親和性を高め、矛盾する目標のバランスを取りながら最大限の力を発揮する方法を解説します
  • ジョイ・インク 役職も部署もない全員主役のマネジメント
  • 著者/訳者:リチャード・シェリダン / 原田騎郎, 安井力, 吉羽龍太郎, 永瀬美穂, 川口恭伸
  • 出版社:翔泳社( 2016-12-20 )
  • 定価:¥ 1,944
  • 米国で何度も働きやすい職場として表彰を受けているメンローの創業者かつCEOであるリチャード・シェリダン氏が、職場に喜びをもたらす知恵や経営手法、より良い製品の作り方などを惜しみなく紹介しています
  • アジャイルコーチの道具箱 – 見える化の実例集
  • 著者/訳者:Jimmy Janlén / 原田騎郎, 吉羽龍太郎, 川口恭伸, 高江洲睦, 佐藤竜也
  • 出版社:Leanpub( 2016-04-12 )
  • 定価:$14.99
  • この本は、チームの協調とコミュニケーションを改善したり、行動を変えるための見える化の実例を集めたものです。96個(+2)の見える化の方法をそれぞれ1ページでイラストとともに解説しています。アジャイル開発かどうかに関係なくすぐに使えるカタログ集です
  • カンバン仕事術 ―チームではじめる見える化と改善
  • 著者/訳者:原田騎郎 安井力 吉羽龍太郎 角征典 高木正弘
  • 出版社:オライリージャパン( 2016-03-25 )
  • 定価:¥ 2,138
  • チームの仕事や課題を見える化する手法「カンバン」について、その導入から実践までを図とともにわかりやすく解説した書籍。カンバンの原則などの入門的な事柄から、サービスクラス、プロセスの改善など、一歩進んだ応用的な話題までを網羅的に解説します。
  • Software in 30 Days スクラムによるアジャイルな組織変革“成功"ガイド
  • 著者/訳者:Ken Schwaber、Jeff Sutherland著、角征典、吉羽龍太郎、原田騎郎、川口恭伸訳
  • 出版社:アスキー・メディアワークス( 2013-03-08 )
  • 定価:¥ 1,680
  • スクラムの父であるジェフ・サザーランドとケン・シュエイバーによる著者の日本語版。ビジネス層、マネジメント層向けにソフトウェア開発プロセス変革の必要性やアジャイル型開発プロセスの優位性について説明
  • How to Change the World 〜チェンジ・マネジメント3.0〜
  • 著者/訳者:Jurgen Appelo, 前川哲次(翻訳), 川口恭伸(翻訳), 吉羽龍太郎(翻訳)
  • 出版社:達人出版会
  • 定価:500円
  • どうすれば自分たちの組織を変えられるだろう?それには、組織に変革を起こすチェンジ・マネジメントを学習することだ。アジャイルな組織でのマネージャーの役割を説いた『Management 3.0』の著者がコンパクトにまとめた変化のためのガイドブック