Q. プロダクトオーナーとスクラムマスターを兼任していいですか?
スクラムガイド(2020)ではスクラムマスターやプロダクトオーナーがスプリントバックログを担当する(つまり開発者としても活動する)場合の記述はありますが、それ以外の兼任や兼務に関する記述はありません。 つまり、プロダクトオーナーとスクラムマスターの兼任自体が禁止されているわけではありません。
ですが、多くの場合、プロダクトオーナーとスクラムマスターの兼任は機能しません。私が今まで支援してきたなかでもほぼ皆無です。
プロダクトオーナーはプロダクトに責任を持つので、開発者の持続可能性を無視してでも進めたくなることがあります。 一方で、スクラムマスターはスクラムの円滑な実践や持続可能な開発の実現に責任を負います。
この2つは時として相反し、多くの場合はプロダクトオーナーとしての立場を優先してしまいます。これはスクラムチームの外側にいるステークホルダーやお金の力が大きいためです。
もちろん、開発者がしっかりしていてプロダクトオーナーの暴走を止められれば、問題は防げます。 しかし、開発者にそのようなスキルがあるのであれば、最初から開発者にスクラムマスターを兼任してもらった方が良いでしょう。
SCRUM BOOT CAMP THE BOOK【増補改訂版】 スクラムチームではじめるアジャイル開発
- 著者/訳者:西村 直人、 永瀬 美穂、 吉羽 龍太郎
- 出版社:翔泳社
- 発売日:2020-05-20
- 単行本(ソフトカバー):288ページ
- ISBN-13:9784798163680
- ASIN:4798163686