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開発者にパフォーマンスの低い人がいたら、スクラムマスターとしてどうしたらいいですか?
スクラムでは、スクラムマスターがパフォーマンスを管理するわけではありません。
スクラムチームは自己管理であり、誰が何をいつどうやってやるかはスクラムチーム自身が決めます。これが基本原則です。
また、責任の観点では、プロダクト自体の進捗(プロダクトゴールに向けた状況)であればプロダクトオーナーが説明責任を担い、スプリント中の開発の進捗であれば開発者自身が説明責任を担います。
これらを踏まえると、スクラムマスターが判断して個別対応するのではなく、まずは開発者同士で状況を話し合い、どう進めるかを決めるのが自然です。スクラムマスターが限られた情報で介入するのは、チームの自己管理を損なうリスクがあります。
チームで考えるべきこと
「パフォーマンスが低い」と感じる背景には、以下のようなさまざまな要因があります。
- 経験が浅く、まだチームに慣れていない
- 見積りやタスク分解が苦手で、オーバーコミットしやすい
- 技術的な課題に直面している
- 実際にはパフォーマンスではなく、コミュニケーション上の行き違いがある
こうしたときは、まずチームとしてどうサポートできるかを考えます。ペア作業やモブ作業を取り入れたり、複数人で一緒に取り組んだりするのも有効です。また研修に行ったり、チームで勉強会をしたりといった学習への投資も必要です。
スクラムガイドにもある通り、スクラムチームは「プロダクトに関して必要となり得るすべての活動に責任を持つ」ので、「どうすればスプリントゴールを達成できるか」をチーム全体で調整していくことが重要です。
それでも改善しない場合
もし状況が長期にわたり改善せず、プロダクトに深刻な悪影響を与えるのであれば、それはチーム外のマネジメント課題です。 プロダクトオーナーやスクラムマスターは人事権を持たないのが普通なので、スクラムチーム外にいるラインマネージャーなどの組織的な役割が対応するべき領域になります。ただしこれは例外的なケースであり、通常はチーム内の協力によって解決することが望ましいでしょう。
スクラムマスターの立場
繰り返しますが、スクラムマスターは「誰が何をやっているか」「誰の進捗が悪いか」を管理する役割ではありません。関心事はあくまで、「スクラムが正しく理解され、実践されているか」「スクラムチームが自己管理し、有効に機能できているか」です。 もしスクラムマスターが進捗管理をしてしまえば、スクラムチームの自己管理を阻害し、ゴール達成そのものを妨げかねません。
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カテゴリ
SCRUM BOOT CAMP THE BOOK【増補改訂版】 スクラムチームではじめるアジャイル開発
- 著者/訳者:西村 直人、 永瀬 美穂、 吉羽 龍太郎
- 出版社:翔泳社
- 発売日:2020-05-20
- 単行本(ソフトカバー):288ページ
- ISBN-13:9784798163680
- ASIN:4798163686